ワイルド・ソウル

垣根涼介さんは以前、借金取りの王子を読んだときにはいまいち合わないなという感じだったのですが、この作品は素晴らしいの一言に尽きます。
ブラジルへの移民に対する待遇の偽証問題はニュースで見てちらっと知っている程度でしたが、作者の2ヶ月にわたる現地取材の成果もあり、そのくらいの予備知識の人間でも当時の悲惨な状況を存分に知ることができます。
その結果、起きる現在の復讐劇も非道の限りを尽くすというわけではなく、同情できる部分を残していますし、実行するキャラの性格もあり、悲惨さばかりが先行すると言うことはありません。
結構文章量としては多めの作品ですが、読み出すと止まらなくなる一作だと思います。