ゴールデンスランバー

伊坂幸太郎作品は陽気なギャングシリーズしか読んだことがないのですが、特徴あるキャラクターを出して様々な伏線を張り巡らしてアクシデントを起こさせながらも全てをきっちり回収する力のある人という印象。
この作品はまさにその真骨頂という感じ、本屋さん大賞に選ばれてますが、それも納得。

首相公選制が行われている日本にて仙台をパレード中の首相が突然暗殺される事件が軸になっています。
ケネディ暗殺をイメージしてもらうと分かりやすいと思います。
実はやっていないのに、その犯人に仕立てあげられた人間が主人公ですが、本人の視点はもちろん、その友人の視点、果ては傍観者の視点まであり、マスコミの報道から受ける一般人の感覚をうまく描いています。
終わり方も救いのある終わり方ですし、読み終えてから事件の二十年後という章を読み返すとまた違った発見があります。
最後まで退屈せず読めますし、読み終わった後にもう一度読み返すと所々でニヤリとできる良作です。