新世界より

貴志祐介という作家さんの作品で他の作品では、嵐の二宮君主演で映画化された青の炎や保険金目当てで起きた殺人に関する話を描いた黒い家が有名でしょうか。
出版されて以来、気になっていました本なのですが、先日地元の図書館で見かけ、迷うことなく上巻を借り、それと同時に下巻を予約。

上下巻ともそれぞれ約500ページありますが、読み始めたら止まらず上巻はあっという間に読み終えてしまい、図書館から下巻が返された連絡が入るのを1週間待ち、ようやく借りることができました。
結局、下巻も借りたその日のうちに500ページを読み終えてしまい、途中でやめることができずに気づいたら読み終わっていた感じ。

今回の作品は現在から1000年後の科学文明は消えたものの人間誰もが魔法を使える日本。そこで主人公が成長していくうちに世界の矛盾に気づき、その矛盾を解き明かそうとすると色々な事態が起き始め...という内容。
最初は世界観がまったくつかめず入り込めなかったのですが、途中の世界を冒険する辺りになると読み進む読み進む。

クリムゾンの迷宮という突然荒野に放り出され、その中で他のチームを出し抜きながらサバイバル生活をして生き残ってくださいという作品があるのですが、この作品の緊迫感に近いものを感じます。
作品背景は違いますが、生き抜くことを目指す時に現れる必死さを描くのが非常にうまい作家さんだと思います。

上下巻合わせて約1000ページ以上あり、持ち歩いて読むのは非常に大変ですが、家で読み終わらないと外で読みたくなるだけの魅力を持つ作品だと思います。
難点としては序盤の世界観を描いている部分が退屈なこと。
後の伏線にもつながるし、現在の世の中と似て非なる世界を描いているため、説明は必要なのですが、とにかくヤマ場がない。ここで挫折する人もいるかも。でも、それを乗り越えてでも読むだけの価値がある作品だと断言はできます。
秋の夜長と言うには、冬が近づいてまいりましたが、長編を一本読みたいと思うときは是非。