灰色の虹

殺人事件において訴えられた本人には全く身に覚えが無いのにえん罪によって刑に服すことになった主人公が刑務所から出てきた際に裁判に関わった刑事を殺そうとするところから物語は始まります。
その後、検事や弁護士などに復讐の手は延びるのですが、えん罪が起きるメカニズムが細かく描かれており、一歩間違ったら自分にもそういったことが起きてしまうのではないかと思わされてしまいます。
その復讐の過程において起きる謎自体は真相が読みやすいので、そこまでの驚きはないのですが、終わり方には何とも言えない切なさを感じます。
ただ不満なのがえん罪になった殺人事件の真犯人が明かされていないこと。
ラストが迫ってきてこの残りページ数でどう納めるのだろうかと思ったもののメイン部分のみ決着をつけ、そちらには触れられていなかったのが気になる部分でした。
ただ、他の方の書評も読みましたが、そのあたりも含めて灰色ということなのではないかという意見に妙に納得してしまいました。