春期限定いちごタルト事件

小市民シリーズと呼ばれる作品の一作目です。
米澤さんが得意とする得意とするいわゆる日常の謎を取り扱っており、器を暖めずに入れられたホットココアや似通った二枚の絵を保管しておくように言われた理由、目印も何もない場所へ決まった時刻へ急ぐ高校生など真相を知ると何だと思うような謎ではありますが、それを取り巻く状況描写やそこから派生していくラストのとある復習劇へ持っていく流れはさすがだと思います。
また小市民たろうとする主人公の文体もうまく描けており、文章を読むだけでもにやっとさせられます。全4作で終わりだそうですが、既刊分の第3作まで読み進めるのが楽しみです。