この国。

日本に非常に似通った架空の一党独裁国家を舞台としてそこで反政府舞台と戦う治安警察隊の一人が主人公となっている作品です。
一党独裁体制でありながら、逆に言えば一党独裁だからこそ国家繁栄を目指し、治安の維持を図り、言論の自由を保証し、低い失業率を維持し、売春さえも国営となり、感染病の防止、国外からの働き口としての役割を持っています。
設定だけ見てもとある最近政権交代したものの口だけで何もしていないとある党とは違った国の繁栄のさせ方を見ることができますし、そんな国だからこそ起きうる価値観に基づいたトリックもあったりします。
短編集のため書き込みが浅い部分がなくはないですが、すんなりと物語にのめり込みやすい作品だと思います。