Another

綾辻さんの名前はもちろん知っており、以前十角館の殺人は読んだこともあるのですが、自分の中ではなぜかなかなか手が伸びることはない作家さんです。
今回はこのミスの3位にランクインしていたので読んでみました。流行りものに弱い人間です。
印象としては核となるトリックをしっかりと書ききると言うイメージがあるのですが、この作品でもそれが発揮されている気がします。
クラスの中で常に存在自体を無視されている少女の存在に気づく主人公の心情描写もうまいですし、なぜそういった事態が起きているのか。そして、最後に待ち構えているどんでん返しまでしっかりと描ききっています。
難点としてはぱっと見の本の分厚さでしょうか。
読み終えてみると冗長という気はそんなにしませんし、引き延ばしてこの長さになったという印象は全くないのですが、なかなか最初に手を出しにくいのも事実です。
でも、最後に心地よくひっくり返される気がするので読後感は悪くはありませんが。