チャイルド44

今年度の海外版このミス第1位の作品です。
自分が知ったきっかけはこのミスではなく、avantiというラジオ番組。
書評家の目黒考二さんが昨年のベスト1の作品としてこれを挙げられており、読んでみたいと思わされました。
24分30秒あたりからです。
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本の帯をそのまま書いてしまいますが、
スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故だと遺族を説得した少年の遺体に酷似していた……。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作!>
読み終わった後に素晴らしい読後感を味わえる良作です。
現代からは考えられない共産主義社会の描写、主人公の人間性の喪失から獲得までを描いた一人の成長物語、犯人が猟奇的な連続殺人を行った理由、伏線を張り巡らし、最後には一つにまとめる手法は見事の一言です。
海外作品を訳しているので、文末の言葉遣いがどうしても淡泊なものになり、それが理由で海外ものを嫌う人もいるかもしれませんが、これは読まないともったいないです。
自分自身がそんな文体が気になり、海外ものにはなかなか手を出せずにいたクチですが、そんな理由でこれを読まないのはかなり損をしていると言い切れます。
文庫版とはいえ上下巻に分かれておりそれなりのボリュームがありますが、是非ご一読を。