ガラスの巨塔

プロジェクトXのプロデューサーの方の自伝のような小説でプロジェクトXの成功から凋落、ねつ造問題や自己の窃盗報道に関して書かれています。
確かに読み物としては良くできていると思いますが、如何せん個人的な主観に沿ってしか書かれていないので、読む側としては事実関係の確認が取れません。実際問題になった高校のねつ造問題でも退学者が80名だろうが71名だろうが大差ない気はしますし。
根拠もない憶測による記事で傷つけられた旨が書いてあり、確かにそれは同情しますし、窃盗疑惑も不起訴に終わっていることが無罪の証明にはなるのでしょうが、NHK内の派閥人事や体制を生々しく描き、疑問を呈してはいるものの海老沢会長を養護する論調に終始してしまっているため、読後感としては疑問符が残ってしまいます。
NHKを批判すると言うよりも自己の正当生をつらつらと並べられている気がして個人の感覚の域を抜け出していない気がします。
プロジェクトXは好きな番組ですし、襟裳岬の回を見て感動して実際に足を運んだこともありますが、この本はあくまで小説と思って読むのがいいのかなと言う気がします。