運命の人

西山事件を取り扱ったいつも通りの世相を斬る山崎作品ですが、沈まぬ太陽のようにモデルとなった人をそのまま描くと言うよりも第4巻の沖縄に関係する部分にかなりオリジナルの部分が入っており、個人的には馴染めませんでした。
山崎さんの作品によく言われる批判に参考文献をそのまま抜き出しただけという物がありますが、個人的には話題となった事件についてフィクションという舞台を借りているとは言え知れればいいと思っているので、その批判には賛同できません。
そのため、第4巻に描かれている沖縄での戦争体験はそれはそれで読む価値はあるものだと思いますが、この作品中においてはそれを入れ込む必要はなかったのではないかなと個人的に思います。
もっとも世間に広めるべきであった公文書の公開の是非を問うのではなく、その入手手段においてのみを争うこととなった西山事件に関しては概要程度しか知らなかった自分にとっては興味深く読めましたが。